麻疹の感染力は強く、解熱後3日を経過するまでは出席停止の病気です
~事前準備が最も重要、1人の時点ですぐ対応が合い言葉~
麻疹の感染力は強く、解熱後3日を経過するまでは出席停止の病気です
麻疹は、感染力が極めて強いウイルス感染症で、空気感染・飛沫感染など、様々な経路で感染します。同じ部屋に20分一緒にいるだけで感染し、感染した人に麻疹に対する免疫がないと、90%以上の人が麻疹を発症します。広い体育館や講堂であっても、同じ空間を共有しただけで麻疹はうつってしまいます。春先は卒業式、終業式、入学式、始業式のように、学校全体で体育館や講堂などに集まる行事が多く、これらの行事は熱があっても無理をして出席してしまう傾向があります。子どもたちのみならず教職員にも同じことが言えます。麻疹の初期症状は、発熱、せき、鼻水、目が赤い、目やにといった麻疹に特有の症状がないために、風邪だと思って解熱剤を飲みながら無理をして出席をしてしまうということもあります。この時期は周りへの感染力が最も強い時期であるために、無理をして出席すると、周りにいる多くの人に感染させてしまうことになるのです。その後、口の中にコプリック斑(はん)という白い粘膜疹(はんてん)が奥歯の横に出現し、その翌日には39?40℃台の高熱となって、赤い発疹(ぶつぶつ)が全身に広がっていきます。この頃になるとせきや鼻水も更にひどくなり、目も真っ赤で、目やにもたくさん出ています。この時期になってようやく麻疹が疑われることもよくあります。しかし、発熱も既に1週間近く続いていることになり、食事ものどを通らず、体力は消耗してしまっています。赤い発疹はその後茶褐色に変色し、色が沈着して、その後消えていきますが、熱が出る前の日から解熱後3日を経過するまでの間は、周りの人に麻疹をうつしてしまうため、学校を休んで治療を受ける必要があります。麻疹は学校保健法に基づく第二種学校伝染病で、解熱後3日を経過するまでの間は出席停止であり、欠席しても、欠席日数に数えられません。休校については、施設設置者の判断になりますが、出席停止は校長先生の判断であり、麻疹疑いの時点から出席停止にすることも可能です。また、麻疹含有ワクチン(下記:麻疹の予防法参照)を受けておらず、かつ麻疹にかかったことがない人は、麻疹にかかるおそれがあるという理由で出席停止とし、ワクチンを受けてから登校するように指導している自治体もあります。
つづく
国立感染症研究所感染症情報センター 多屋馨子
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http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html
2012年の麻疹排除(Elimination)を目標に、2007年8月厚生労働省において、わが国における「麻疹排除計画」が策定されました。これを機に、麻疹排除に向けた本格的な取り組みが国民ひとりひとりに求められています。
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