そろそろ秋も深まってまいりました。気温もあまり上がらず、地域によってはかなり空気も乾燥して、毎年、子どもたちだけでなく、大人もいろいろな皮膚のトラブルに悩む季節です。
そこで、今回の特集では、この時期のいくつかの皮膚のトラブルに関するご質問に、皮膚科専門医の林伸和先生にご回答をいただきました。
(聞き手/公益財団法人日本学校保健会事務局)
インタビュー:林 伸和 先生
(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 皮膚科 部長)
1.手指のトラブル
Q-2 よく、「お湯を使うと手が荒れる」と言われますが、本当でしょうか。
Q-3「手を洗って、ハンカチ・タオルで拭かないでそのままにしていると、手が荒れる」と言われますが、ホントですか? また、どうしてでしょうか?
Q-4 冬になると、指のささくれで保健室へやってくる子どもが増えるのですが、予防方法や適切なケアを教えてください。
1.手指のトラブル
Q-1 本校には、子どもだけでなく、教職員の中でも冬になると手荒れがひどくなる人がいるのですが、あらかじめ予防する方法などはありますでしょうか。
また、荒れてしまった手のケアにはどんなものがありますか。
A. 手荒れの予防には,保湿が一番大切です。特に湿度の低い冬には,保湿クリームを持ち歩き,手を洗うたびに保湿してください。保湿クリームは市販のものでかまいませんが、こまめに塗っていただくことが大切です。
ただ、一度,手荒れが起きてしまうと,保湿クリームだけでは改善しません。医療機関での診察を受けて,ステロイドなどの手荒れを治療する塗り薬を使いましょう。
Q-2 よく、「お湯を使うと手が荒れる」と言われますが、本当でしょうか。
A. お湯や水に長い時間触れていると,皮膚表面の皮脂がとれ角層がふやけて,皮膚のバリア機能が弱くなります。そのまま乾燥させると,角層はひび割れ,そこから皮膚の水分が蒸散して,手が荒れた状態になります。特に,お湯は水よりも洗浄力が強く,手指の皮脂が取れてしまうため,手荒れが悪化します。冬に温かいお湯を使うと,水よりも触れている時間が長くなりがちです。お湯を使う時間は最低限にして,使用後はしっかりと保湿してください。。
Q-3 「手を洗って、ハンカチ・タオルで拭かないでそのままにしていると、手が荒れる」と言われますが、ホントですか? また、どうしてでしょうか?
A. 手を洗ってそのままにしておくと,手に残った水分で角層がふやけて皮膚のバリア機能が弱くなります。手を洗った後は,必ずハンカチやタオルで水けをふき取り,保湿クリームを使って保護しましょう。
Q-4 冬になると、指のささくれで保健室へやってくる子どもが増えるのですが、予防方法や適切なケアを教えてください。
A. ささくれは,指の乾燥で生じます。砂遊びや水あぞびをした後は,必ず手を洗い,水けをふき取って保湿クリームを使用するようにしてください。ささくれを引っ張って取ると,傷ができて再発しがちです。ささくれているところが邪魔な場合には,ハサミや爪切りで切り取ってください。