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学校のアレルギー疾患に対する取り組みQ&A

学校におけるアレルギー疾患に対する取組推進検討委員会

アレルギー疾患用学校生活管理指導表(以下、「管理指導表」)について

 
Q1. 管理指導表はどのような病状の人が提出するべきですか。また、提出するかどうかは誰が判断したらよいですか。
Q2. 管理指導表はいつ提出したらよいのですか。
Q3. 管理指導表はどこで入手できるのですか。
Q4. 管理指導表は、各教育委員会が関係機関と協議して独自に作成したものを使用してよいのですか。
Q5. ぜん息とアトピー性皮膚炎で小児科と皮膚科にかかっている子どもの場合、小児科の医師と皮膚科の医師のそれぞれから管理指導表を書いてもらう必要があるのですか。その場合、1枚の管理指導表に記載するのですか。
Q6. 管理指導表に記載する「緊急時連絡先」には、どのような医療機関名を記入したらよいですか。
Q7. 管理指導表の記入を主治医に頼んだ場合、費用はかかるのですか。
Q8. 管理指導表には個人情報が記載されることになりますが、保管等管理指導表の取り扱いはどうしたらよいでしょうか。
Q9. 管理指導表に記載された内容を教職員全員で共有することについて、保護者からの同意が得られない場合にはどうしたらよいでしょうか。
Q10. 管理指導表に医師が署名・捺印することによって、医学的・法的責任の所在はどうなるのですか。
Q11. 管理指導表は毎年提出する必要があるのですか。
アナフィラキシーショックおよびエピペンの取り扱いについて
Q12. ガイドラインには「人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定によりその責任が問われないものと考えられます。」と記載されていますが、このことについて詳しく教えてください。
Q13. 子どもがどのような症状を呈した時に、エピペンを打ったらよいのでしょうか。
Q14. アナフィラキシーではないのに誤ってエピペンを打った場合、どのような反応が起こるのでしょうか。後遺症が残ったり、生命に関わったりすることはないのでしょうか。
Q15. エピペンの取り扱いには、事前に医師や保護者の依頼書・同意書などは必要なのでしょうか。
Q16. エピペンの使用で、事故例があれば教えてください。
Q17. どういう人がエピペンを処方されていることが多いのですか。
Q18. 学校でのエピペンの保管方法の具体例を教えてください。
Q19. エピペンについての情報はどこから入手したらよいのですか。
Q20. 救急救命士がエピペンを注射できるようになったのでしょうか。
Q21. 救急救命士はエピペンをいつも携帯し、現場の患者に対して注射するのでしょうか。
Q22. 医師から過剰な食物制限を指示されている児童生徒等への対応はどうしたらよいですか。
Q23. 食物負荷試験を行っていなかったり、専門の医療機関を受診していなかったりした状態で、食物アレルギーと診断されている場合、どう判断し、どう対応したらよいですか。
Q24. 保護者から、管理指導表を記入していないにもかかわらず、食物アレルギーの対応を依頼されたらどうしたらよいですか。
Q25. 食物アレルギーがある児童生徒等が野外活動や修学旅行に参加する場合、宿泊する施設の食事についてはどのように対応したらよいですか。保護者や宿泊施設の食事担当者等とどのようなことを話し合えばよいですか。
Q26. 特定の食物を摂取すると湿疹が悪化する児童がいるのですが、どう対応したらよいでしょうか。
Q27. 給食の配食において気をつけるべき点は何でしょうか。
Q28. 食物アレルギーの対応を行っている児童生徒等の給食費はどう扱ったらよいでしょうか。

Q1. 管理指導表はどのような病状の人が提出するべきですか。また、提出するかどうかは誰が判断したらよいですか。

A アレルギー疾患により学校生活の中で特別な配慮が必要な児童生徒等が提出すべきです。アレルギー疾患に関して医師から診断されており、医師も配慮が必要であると認めた場合に、学校関係者と保護者がその詳細を話し合って学校での対応を決めるようにします。
管理指導表については、就学時の健康診断の際には市区町村教育委員会から、そして年度替わりの際には学校側から全児童生徒等に対して「アレルギーがあり、学校生活での特別な配慮が必要な方」は管理指導表を主治医に記入してもらい、学校に提出するよう保護者に促してください。学校側からも、管理指導表が提出されていない児童生徒等で、アレルギー疾患による特別な配慮が必要であると判断した場合には、保護者に対して提出を働きかけてください。

Q2. 管理指導表はいつ提出したらよいのですか。

A 管理指導表は、児童生徒等の安全・安心を確保するために学校全体として取組を進めるために必要なものです。年度初めには児童生徒等の状況を把握しておく必要があります。したがって、前年度末までに提出していただくことが望ましいです。また、アレルギー疾患には、季節等により発症する時期が異なる場合も多くあることから、アレルギー疾患と診断を受けたり、児童生徒等の日常の健康観察等を踏まえ、必要と思われたりする時、保護者と学校の連携を十分に行う関係を構築し、随時、提出していただく学校体制も必要です。

Q3. 管理指導表はどこで入手できるのですか。

A 管理指導表は、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(日本学校保健会発行、以下「ガイドライン」)の12?13ページにも掲載されていますが、日本学校保健会のポータルサイトからダウンロードすることもできます。
/book/bo0002.html

Q4. 管理指導表は、各教育委員会が関係機関と協議して独自に作成したものを使用してよいのですか。

A まずはガイドラインに掲載されている管理指導表を用いることをご検討ください。管理指導表に記載されている項目を削除せず、使いやすくするために項目を新たに付け加えるかたちで独自に作成いただくのは構いません。

Q5. ぜん息とアトピー性皮膚炎で小児科と皮膚科にかかっている子どもの場合、小児科の医師と皮膚科の医師のそれぞれから管理指導表を書いてもらう必要があるのですか。その場合、1枚の管理指導表に記載するのですか。

A 管理指導表はあくまでも配慮が必要な疾患に関してのみ医師に書いてもらうことが原則です。アレルギー疾患はあっても、軽症で何も配慮が必要ない場合には管理指導表の提出は必要ありません。いずれの疾患に関しても学校での配慮が必要であれば、小児科と皮膚科でそれぞれ管理指導表に記載してもらってください。学校で管理指導表は、原則、児童生徒等について1枚となりますのでご注意ください。

Q6. 管理指導表に記載する「緊急時連絡先」には、どのような医療機関名を記入したらよいですか。

A まず「緊急時連絡先」欄は、緊急処置が必要になる危険性が高い気管支ぜん息やアナフィラキシーの児童生徒等のみが記入の対象で、アレルギーがある全ての児童生徒等が記入しなければいけないものではありません。「緊急時連絡先」とは、アナフィラキシー症状や気管支ぜん息の発作で、緊急処置が必要な状態にある児童生徒等が、一刻も早く医療処置が受けられる医療機関を想定します。このため、「緊急時連絡先」は、?学校で対応できないような緊急時の医療処置が行えること、?学校に近いこと、の2点を満たすことが望まれます。この時、学校医や主治医が緊急処置も行うことが可能ということであれば、「緊急時連絡先」に学校医や主治医の医療機関名を記載しても構いません。

 もし主治医が診療所の医師で、緊急時連絡先に近隣の病院名を記入する場合には、当該病院が緊急連絡先となっていることを了解しておく必要があります。

Q7. 管理指導表の記入を主治医に頼んだ場合、費用はかかるのですか。

A 管理指導表は健康保険の適用にならず、自由診療の位置づけとなるため、文書料が発生することはありえます。料金を決定するのは医療機関ですので、無料の医療機関もあれば有料の医療機関もあります。各地域の教育委員会と医師会とで相談し、医療機関の間で料金に大きな差が開かないよう調整することが望まれます。

Q8. 管理指導表には個人情報が記載されることになりますが、保管等管理指導表の取り扱いはどうしたらよいでしょうか。

A 管理指導表は、児童生徒等がいつどのような状況で緊急の対応が必要になるかわかりませんので、学校の教職員全員で情報を共有することが大切です。一方で、管理指導表には、児童生徒等の健康に関する重要な個人情報が記載されていますので、その情報が教職員以外に漏れないよう、十分に注意をして管理を行う必要があります。
管理指導表の取り扱いについては、ガイドラインの17ページもご覧ください。

Q9. 管理指導表に記載された内容を教職員全員で共有することについて、保護者からの同意が得られない場合にはどうしたらよいでしょうか。

A 保護者に対して、教職員全員で情報共有する目的が、児童生徒等がいつどのような状況で緊急の対応を要する状態になるかを完全に予測することが難しく、いつどこで発生しても、その場にいる教職員が対応できるようにするためであることを説明し、同意を得るようにします。

Q10. 管理指導表に医師が署名・捺印することによって、医学的・法的責任の所在はどうなるのですか。

A 管理指導表は診断書と全く同じものではありませんが、似た性格をもっています。よって、管理指導表に署名・捺印することによって、記載した疾患の診断や治療内容及び学校生活上の留意点の内容について、医師の責任は伴うものと考えられます。

Q11. 管理指導表は毎年提出する必要があるのですか。

A アレルギー疾患は1年経過すると症状が緩和したり、悪化したり、または新規に発症したりすることもあります。したがって、管理指導表は1年ごとに更新し、提出して頂くことが望ましいです。もちろん学校での配慮が必要な新しいアレルギー疾患を発症した場合には、随時提出して頂くことが必要です。

アナフィラキシーショックおよびエピペンの取り扱いについて

Q12. ガイドラインには「人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定によりその責任が問われないものと考えられます。」と記載されていますが、このことについて詳しく教えてください。

A アナフィラキシーショックを起こし、エピペンを自ら注射できない状況にある児童生徒等に代わり、その場に居合わせた教職員がエピペンを注射することは、ガイドラインの67ページにも記載されているように、医行為を反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にはならないと考えられます。同時に、人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められれば、刑法や民法等の規定により、その責任は問われないものと考えられます。
今回、このようなエピペンの取り扱いについてガイドラインに記載したのは、エピペンというアナフィラキシーショックを起こした児童生徒等の命を救う手段があり、あらかじめ教職員が使い方を理解していて、救いたいと思っているにもかかわらず、法律の壁によって教職員は使用できないという認識を改めるために記載したものです。

Q13. 子どもがどのような症状を呈した時に、エピペンを打ったらよいのでしょうか。

A 重篤なアナフィラキシー症状(皮膚症状と呼吸器症状など複数の臓器で症状が出ること)を呈した場合にはエピペンの適応となります。ここで言う呼吸器症状とは「息が吸えない」などの呼吸困難、「ゼーゼー」などのぜん息様の症状、犬が吠えるような咳、声がれなどの症状を指します。さらに、意識がはっきりしない、脱力状態に陥っているなどの場合には、エピペンを打たないと生命が危険にさらされる可能性が大きくなります。

詳しくは日本アレルギー学会ホームページ アナフィラキシーQ&A(http://www.jsaweb.jp/general/qa_anaphylaxis_con.html)、アナフィラキシー対策フォーラム(http://www.anaphylaxis.jp/index_flash.html)を参考にしてください。

Q14. アナフィラキシーではないのに誤ってエピペンを打った場合、どのような反応が起こるのでしょうか。後遺症が残ったり、生命に関わったりすることはないのでしょうか。

A 正常な方にエピペンを誤って打ってしまった場合には、ほてり感、心悸亢進(心臓がドキドキすること)などの症状が起こりますが、あくまでも一時的な現象です。15分程度で元の状態に戻ります。エピペンの注射液の主成分はアドレナリン(あるいはエピネフリン)と呼ばれ、われわれの体内にある副腎髄質というところで作られるホルモンの一種です。緊張したときにドキドキする原因の体内物質です。

Q15. エピペンの取り扱いには、事前に医師や保護者の依頼書・同意書などは必要なのでしょうか。

A 教職員がエピペンを使用するのは緊急時の対応であるので、事前の依頼書や同意書の作成までは必要ありません。ただし、事前に医師や保護者とエピペンの取り扱いについて話し合い、情報を共有しておく必要があるでしょう。

Q16. エピペンの使用で、事故例があれば教えてください。

A エピペンの誤使用の例としては逆さに持ってしまい、指に針が刺さってしまった報告が数例あります。くれぐれも持ち方に気をつけて頂いて(下図)、針が出てくる側には指などをあてがわないように気をつけてください。なお、現在我が国では、エピペンを使用して生命にかかわるような事故が発生したという報告はありません(2009年3月現在)。

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Q17. どういう人がエピペンを処方されていることが多いのですか。

A 過去にアナフィラキシーに陥って、医療機関などでアドレナリンの注射を受けたことがあるような方が、医師からの薦めあるいは患者、保護者からの希望により処方されていることが多いと思われます。エピペンの処方を受けている方は、「アナフィラキシーの既往がある方で、症状の進展が早くて時間的に猶予のない方、致死的なアナフィラキシーを経験されている方、近隣の医療機関が遠く緊急時にすぐに対応してもらえない方」などの場合が多いと思います。
なおエピペンは、その安全性や有効性等について事前に講習を受け、登録された医師のみが処方できることとなっています。

Q18. 学校でのエピペンの保管方法の具体例を教えてください。

A 児童生徒等がエピペンを処方され、携帯している場合、そのエピペンを学校が管理する場合と学校が保管場所を提供しない場合があります。

1.学校が管理する場合

 学校や児童生徒等の状況は様々なので、画一的に学校での保管方法を指定することは出来ません。しかし、1)利便性と2)安全性を考慮した上で、それぞれの学校での最善の保管方法を検討する必要があります。

1)利便性

 エピペンの注射が必要となったとき、速やかにエピペンを現場へ持参できるような保管場所や保管方法を考慮してください。また、児童生徒等が登校時にエピペンを保管場所へ持参し、下校時に受け取って帰宅する上で、負担にならない利便性の高い場所が望ましいです。

2)安全性

 他の児童生徒等がエピペンに触れ、誤射等の事故が起きないようにすることが必要です。このため、児童生徒等の目に触れやすかったり、手が届きやすかったりする場所を避けます。実際に多い対応例は以下のようなものです。

(例)

 エピペンを処方されている児童生徒等が登校とともに、一元化された管理者(校長、副校長、担任、養護教諭等)に赴き、校長室、教員室、保健室等に預ける。

 保管場所は固定され、全ての教職員がその場所を把握する。また、管理者が不在の時などの対応方法を事前に十分協議して決定しておき、その内容も全ての教職員が把握する。

 児童生徒等は下校時に管理者に赴き、エピペンを受け取り、帰宅する。

 

2.学校が保管場所を提供しない場合

1)利便性

 エピペンの注射が必要となった時に、児童生徒等が保管場所を第3者に伝えることが困難な場合があります。このため学校は、児童生徒等が日頃どこにエピペンを保管しているか事前に聞いて、把握しておく必要があります。

2)安全性

 学校が保管場所を提供しない場合、児童生徒等はエピペンを教室で、ランドセルや机、ロッカーなどに保管することが多いです。この場合、不特定多数の児童生徒等がエピペンに触れることが可能となり、意図せずまたは意図的にエピペンに触れる可能性が高まります。その結果、他の児童生徒等がエピペンを誤射するなどの事故が発生する可能性があります。学校はエピペンの保管場所を提供しない場合、誤射事故に対するリスク管理(アレルギーがある児童生徒等及びその他の児童生徒達への注意喚起など)を徹底する必要があります。また、万が一の誤射事故への対応も事前に準備しておく必要があります。

 

 

 なお、エピペンは常温管理であれば、使用期限内の品質に問題は生じません。このため、冷蔵庫での管理はむしろ不適当です。

 

(参考)野外活動や修学旅行に行く場合の管理

 アレルギー対応食に不慣れなホテルや旅館、ソバ打ち体験等、校外活動や修学旅行は普段の学校生活よりもアナフィラキシー事故の発生する危険性が高まります。事前の打合せを綿密にするのはもちろん、エピペンの管理や事故を想定した準備も重要です。

1)事前確認

 事前に児童生徒等がエピペンを携行するかどうかを保護者に確認し、行程中の管理を話し合っておきましょう。

2)行程中の管理

 学校は、当該児童生徒等の行程を常に把握します。特に小グループ行動や自由行動の時には、目が離れやすいので注意が必要です。

 学校がエピペンを管理する場合、管理者は特定の教職員に定めます。当該児童生徒等の行程とともにエピペンも移動する必要があるので、管理者は児童生徒等と行動を共にします。自由行動の時などは、一時的に児童生徒等に管理を任せることも考える必要があります。

3)現地の医療機関の確認、確保

 エピペンを使用した場合には、その後医療機関を受診する必要があります。また、事前に行程先の医療状況を十分に調査しておきましょう。事故時に児童生徒等の搬送先として想定される病院には、事前に学校から了解を得ておくと、万が一のときに迅速に対応できます。

 

Q19. エピペンについての情報はどこから入手したらよいのですか。

A エピペンはDEY社(http://www.dey.com/)より供給され、国内ではファイザー株式会社から販売されています(2012年11月)。 エピペンに関する情報はファイザー株式会社ホームページのhttp://www.epipen.jp/ に詳しく掲載されています。ホームページには、エピペンの具体的な使い方、使用上の注意点、Q&A、問い合わせ先などがあり、また患者用資料なども無償でダウンロード出来るようになっています。また、厚生労働科学研究による「食物アレルギーの診療の手引き2008」(http://foodallergy.jp/)には、医学的なエピペンの情報が詳しく、財団法人日本学校保健会による「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル」(http://www.jspaci.jp/modules/gcontents/index.php?content_id=3)には、より具体的なアナフィラキシー対応に関する解説があります。

Q20. 救急救命士がエピペンを注射できるようになったのでしょうか。

A 平成21年3月より、アナフィラキシーで生命が危険な状態にある方があらかじめエピペンを処方されている方だった場合、救急救命士はその方に対して、エピペンを注射することが可能となりました。

Q21. 救急救命士はエピペンをいつも携帯し、現場の患者に対して注射するのでしょうか。

A 救急救命士は常にエピペンを携帯しているわけではありません。体重や既往症等に応じて使用量が変わるため、原則として、アナフィラキシーで生命が危険な状態にある方本人に処方されているエピペンを使用します。

給食・食物アレルギー関係

Q22. 医師から過剰な食物制限を指示されている児童生徒等への対応はどうしたらよいですか。

A 管理指導表で食物アレルギーの診断根拠の箇所に「?IgE抗体等検査結果陽性」のみで、多数の原因食物の申請がなされている場合に該当します。

 学童期までに乳幼児期発症の食物アレルギーの多くは良くなっていくことが知られていますが、1割から2割程度の牛乳・鶏卵・小麦などのアレルギーが続くことが知られています。幼少期に受けた診断がそのままになっていないか、保護者の思いこみや間違った指導で過剰な食物除去になっていないか、などを学校側から確認してください。必要ない過剰な食物除去は身体面だけでなく、心理・精神面にも多大な影響を与えます。食物アレギーの診断や栄養指導に関しては厚生労働科学研究事業にて「食物アレルギーの診療の手引き2008」(http://www.jaanet.org/)「食物アレルギーの栄養指導の手引き2008」(http://www.jaanet.org/)が公開されていますので、参考にしてください。各地域の、小児科専門医の日本アレルギー学会認定専門医にご相談されるのも良いと思います(http://www.jsaweb.jp/index_general.html)。

 

Q23. 食物負荷試験を行っていなかったり、専門の医療機関を受診していなかったりした状態で、食物アレルギーと診断されている場合、どう判断し、どう対応したらよいですか。

A 学童期の食物アレルギーとしては、乳児期に発症した牛乳・鶏卵・小麦などの食物アレルギーが残ってしまった場合と、新規に甲殻類、魚類、ピーナッツ、木の実類、果物類などの食物アレルギーを発症する場合があります。乳児期、幼児期早期に発症した後に、全く医療機関を受診されていない方は、既に過敏性(アレルギー)は消失しているにもかかわらず、幼少期に行われた食物除去がそのままになっている可能性がありますので、アレルギー学会認定専門医(http://www.jsaweb.jp/index_general.html)など、食物アレルギーに精通した医療機関における食物負荷試験の結果などに基づいて適切な診断を受けられることが奨められます。学校側からもこれらの情報を提供し、受診を促してください。このようなことも学校側からの大切な情報提供です。

Q24. 保護者から、管理指導表を記入していないにもかかわらず、食物アレルギーの対応を依頼されたらどうしたらよいですか。

A 食物アレルギーがある児童生徒等に関しては、医師の診断のある児童生徒等のみが学校での配慮や取り組みの対象になります。保護者の自己申告や幼少期の診断結果では過剰な食物除去になる可能性がありますので、給食等に特別な配慮を求める保護者の方で、管理指導表の提出がない方には、適切な診断を受けることと管理指導表の提出を促してください。

Q25. 食物アレルギーがある児童生徒等が野外活動や修学旅行に参加する場合、宿泊する施設の食事についてはどのように対応したらよいですか。保護者や宿泊施設の食事担当者等とどのようなことを話し合えばよいですか。

A 以下の3点がポイントになります。

? 現在は対応してくれる施設が増えていますが、安易な対応の仕方で、事故につながらないように、特に重症な児童生徒等の場合には丁寧な打ち合わせが必要です。

? 保護者と学校と施設が直接打ち合わせできるのが一番望ましい方法です。

? 食事内容、材料の詳細、厨房で他の食品が混入する可能性があるかどうかを確認します。除去などの対応が必要な場合には、更に対応の内容について打ち合わせが必要になります。

Q26. 特定の食物を摂取すると湿疹が悪化する児童がいるのですが、どう対応したらよいでしょうか。

A 多くはアトピー性皮膚炎のコントロール状態が悪く、ちょっとした温度変化や様々な刺激で湿疹が悪化するような患者さんにそのような訴えが多く認められます。下図に示すように乳児期などとは異なり、学童期には食物アレルギーで湿疹が悪化する様なケースは極めてまれである(食物アレルギーによってじんましん、発赤などの即時型を呈する方が大多数)と思いますので、皮膚科やアレルギー専門医を受診し、湿疹のコントロールを良くした上で適切な判断をするようにしてください。

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Q27. 給食の配食において気をつけるべき点は何でしょうか。

A 給食が自校方式か共同調理場方式かなどにより、対応できる内容や方法が変わりますが、以下の2点に気をつけてください。

? 対象となる児童生徒等に確実に届くように、記名等で容器の区別を行うことが大切です。また学級で、他の児童生徒等の給食が混入しないようにする工夫をします。

? 容器に配食する場合に、複数の調理員で献立内容・除去すべき食品・対象の児童生徒等について一つずつ確認するシステムを作ることが重要です。

Q28. 食物アレルギーの対応を行っている児童生徒等の給食費はどう扱ったらよいでしょうか。

A 対応の方法(特別食か除去だけなのか)や、使用する食材を別に購入するかどうかなどによって必要となる材料費が違いますが、学校給食を管轄する教育委員会の判断が基本となります。

 財団法人日本学校保健会が実施している「学校保健センター事業」として、下記の委員会が編集作成した。

学校におけるアレルギー疾患に対する取組推進検討委員会委員名簿(平成20年度)

 委員長 衞藤 隆 東京大学大学院教育学研究科 教授
  今井 孝成 国立病院機構相模原病院小児科 医師
  海老沢 元宏 国立病院機構相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究 部長
 
  栗山 真理子 特定非営利活動法人
アレルギー児を支える全国ネット
アラジーポット 専務理事
 
  斉藤 史洋 神奈川県立上溝南高等学校 教諭
  洲崎 春海 昭和大学医学部耳鼻咽喉科 教授
  寺西 新 東京都教育庁都立学校教育部学校健康推進課 課長
  高橋 慶子 群馬県教育委員会スポーツ健康課 指導主事(総括)
  高村 悦子 東京女子医大大学眼科
社団法人日本眼科医会
准教授
理事
  土橋 紀久子 山梨県甲府市立富竹中学校 養護教諭
  中嶋 恒子 松本市西部学校給食センター 主幹
  西間 三馨 国立病院機構福岡病院長  
  服部 瑛 医療法人はっとり皮膚科医院
日本臨床学皮膚科医会
理事長
常任理事
  秀 道広 広島大学医学部皮膚科 教授
  古江 増隆 九州大学大学院皮膚科学 教授
  宮本 香代子 広島市立東野小学校 校長
 
なお、Q&Aの作成にあたり、
  高山 研 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 専門官
のほか、下記の方々にご指導いただきました。
  田中 延子 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 学校給食調査官
  北垣 邦彦 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 健康教育調査官
  釆女 智津江 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 健康教育調査官
  尾原 敏則 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 課長補佐