埼玉大学教育学部準教授 七木田文彦
(平成20年度版 学校保健の動向「ミニコラム」より)
学校健康診断の歴史
学校健康診断の始まりは,1888(明治21)年に実施された「活力検査」とされている。1897(明治30)年には「活力検査」が改められ,「学生生徒身体検査規程」が公布された。当時の「学生生徒身体検査規程」では,4月と10月の年に2回の検査を実施することとなっていた。今日のように,年1回4月に検査を実施するようになるのは,1904(明治37)年「学生生徒身体検査規程」一部改正によってである。
「学生生徒身体検査規程」は1920(大正9)年に廃止され,新たに発育概評の標準を定めた「学生生徒児童身体検査規程」が制定された。さらに同規程は,1937(昭和12)年に「学校身体検査規程」として改正され,1939(昭和14)年には児童生徒だけではなく,教職員の身体検査規程である「学校職員身体検査規程」が制定された。1944(昭和19)年には「学校身体検査規程」と「学校職員身体検査規程」を廃止・統合し,新たに「学校身体検査規程」が制定された。ここに今日の学校健康診断の基礎が確立された。
学校給食の歴史
1889(明治22)年7月,山形県鶴岡市において仏教各宗派協同忠愛協会が少数の貧困児に対し,学校において無料で昼食を出した慈善事業が日本における学校給食の始まりである。1928(昭和3)年,貧困児童救済のために文部省訓令第18号「学校給食臨時施設方法」が公布されたことにより,国庫補助による初めての学校給食が実施された。1940(昭和15)年,昭和恐慌や東北地方の冷害,そして長期化した戦時体制により,貧困児童,栄養不良,虚弱児童に対して学校給食を実施するために「学校給食奨励規程」が公布された。戦後はユニセフや米国から寄贈された脱脂粉乳や小麦粉により完全給食が実施された。1954(昭和29)年には今日に至る学校給食の制度的基盤として「学校給食法」が成立した。2005(平成17)年には新たな教育職員として栄養教諭が誕生した。