第10回 児童生徒の保健委員会活動事例
 

健康・給食委員会と学校歯科医とが連携して行う「歯の集会」

愛知県名古屋市立幅下小学校
長谷川順子

 

1 はじめに

 本校は,小規模校のため,二つの児童委員会が合体した形で一つの児童委員会を形成しています。健康に関する活動を推進する健康委員会と給食に関する活動を推進する給食委員会で構成され,健康・給食委員会として活動をしています。今回は,前期に実施した集会活動の取組を紹介します。

2 特徴ある取組

 毎年6月の歯の衛生週間に,健康・給食委員会と学校歯科医とのコラボレーション企画として,全校児童集会「歯の集会」を実施しています。まず,委員会児童が全校児童に伝えたいメッセージを,創作劇やクイズなどで発表します。その後,学校歯科医から劇やクイズに関連するコメントだけでなく,歯や歯肉の健康に関する豆知識も併せて指導していただくようにしています。
 このような取組を通して,児童に口腔内の健康を保つ必要性を伝え,歯磨きへの意欲を高めるようにしています。


劇「日本一歯みがき上手なももたろう」の一場面

<集会活動に取り組む上で大切にしていること>

(1) 児童が主体的に活動できるような工夫  創作脚本による劇化 

 私は,児童が自分たちで伝えたい内容を考えて,みんなにしっかり伝えたいという思いをもつことが,主体的な活動につながると考えます。この思いが,強いメッセージ性のある発表となり,全校児童に歯や歯肉の健康を保つことの大切さを訴えることができます。
 方法としては,脚本作りから始めています。脚本作りでは,まず委員会として全校に伝えたいメッセージは何かを考えさせます。この視点をもつことで,ストーリーの展開が考えやすくなります。そして,分かりやすく伝えるための手だてとして,身近なキャラクターを登場させるアイデアも出てきて,ねらいが明確な脚本が創り上げられていきます。また,劇のストーリーを考えつかないときには,既成の話を見付けて,自分たちのメッセージを入れたストーリーにアレンジし,脚本作りをしてもよいことも提案しています。
 今年度は,昔話「ももたろう」を基に,「歯磨きはむし歯予防のためには絶対に必要なこと」というメッセージを入れ,代表児童数人が分担して脚本化し,10分間ほどの劇「日本一歯みがき上手なももたろう」に仕上げました。また,劇に使う小道具は,役を担当する児童のイメージを大切にして,各自で制作することで劇に主体的に参加する意欲を高めています。

(2) 歯と歯肉の健康に関する正しい知識を伝える工夫  学校歯科医との連携 

 学校歯科医の講話は,児童が歯や歯肉に関する正しい知識を身に付け,口腔内の健康への意識を高めることに必要不可欠です。そこで,学校歯科医には児童の発表後に講話をしていただくように依頼しています。事前に劇のねらいを伝え,健康・給食委員会からのメッセージを補足するような内容を分かりやすく話していただくことで,全校児童が委員会からのメッセージを一層理解し,歯磨きへの意欲を高めるようにしています。 

3 円滑に委員会運営するためのポイント

(1)委員会の活動計画を立てる。
 年間計画を立てることにより,見通しをもって委員会活動を進めることができます。

(2)委員会担当教員と健康・給食委員長との事前の打ち合わせを実施する。
 限られた委員会の時間を有効的に活用し,児童主体で話し合い活動を進めていくために行います。

(3)集会活動では一人一役とし,全員で発表する。
 児童の個性に合わせて,劇での役だけでなく,ナレーターやクイズの出題などの役割もつくり,全員で集会活動に参加できるように配慮します。