第8回「学校保健委員会の立ち上げを巡って」

学校医の活用

櫻井 さきほど増山先生のお話では、校医さんを呼ぶときに眼科医さんも入っているということでしたが、私が今まで経験してきた学校保健委員会の中で眼科医さんまで広げられたことはありません。なぜかというと、今私が勤務している学校は960人の学校ですが、内科医さんがお2人、歯科医さんもお2人、薬剤師さんはお1人いらっしゃいます。そこに眼科医さんや耳鼻科医さんが入るとすごい数になるということで、想定の時点から「学校三医師の先生方」というのが念頭にありました。
正直に言えば、コンタクトレンズはそんな扱い方をしないでほしいとか、眼科医さんが入ってくれるといいのにと思うことが結構高校でもあります。しかし、そこまで広げる自信もないというのが実際のところだったかなと思います。ですので、学校医さん、学校歯科医さん、学校薬剤師さんまでにまずはお声を掛けようではないかと思ってやっています。
今の学校も前任校も定時制併設です。学校保健委員会をやるときに、全日制と定時制は校医さんが全く一緒で、全日制は内科医さんはお2人、定時制はお1人で、そのお1人が隔年で替わっていくというスタイルを取っています。実は前任校では、委員会は全定一緒に開催していましたが、今の学校はバラバラでやっています。全日制に来ている子と定時制に来ている子では抱えている健康課題も背景も違うので、テーマとしてはバラバラでやることに意味はあるのですが、そうすると校医さんは両方に来ないといけないことになりますので、今後、どうするのが一番いいのかなと思っているところです。

増山 校医さんがもし7人ほど来られたときには、全員からご講話をいただくような会にするようなものを計画するのですか。

櫻井 校医さんの講話の設定は時間的にもなかなかできないですね。ただ、少なくとも専門的な質問を投げ掛けられるようなテーマにしたいということは狙っています。

濁川 校医さんも、自分の分野でないと今度はいいかなと思われてしまうので、3年に1回は眼科を入れてみたり、内科の心のことや薬のことなどうまく入れたりするようにしてお願いしている感じです。そこで講話というよりも、助言はいただきます。ただ、耳鼻科や眼科の先生はお1人が何校も持っているのです。それで、1校出ると次も出ないといけないので、悪いけど断るねということがあるので、どうしても出てほしいときは事前にお話をしてお願いしています。

増山 保護者や児童と同じ立場で校医さんにも参加してもらっています。けがのことを何年かやっているのですが、歯のけがのこともあるし、目のけがのこともあります。例えば姿勢は内科がかかわることが多いですが、しっかりかんで体を丈夫にして、骨も丈夫にすることで姿勢も良くなるとか、姿勢を悪くすると目も悪くなるとか、絡むところはいろいろあるといえばあります。一つの意見を言っていただくだけの参加でも、お願いしているのが現状です。

櫻井 本当はそれが一番いい気がします。

濁川 そういう感じです。だから、校医さんが話す場所をわざわざ設けないで、「どうですかね」と司会の方が振ったらお話をしてもらうようにしています。

増山 校医の先生方がたくさん来られるようなときは、講師のような感じではなくて、保護者や先生方と一緒に並んでいる状態で参加してもらっていました。

櫻井 高校では、そこで発言していただくための運営案を作って、司会の先生に頼んで振ってもらっているところも多いと思いますので、そういう保護者や生徒の並びの中に校医さんや歯科医さんもいるというのはとてもうらやましいです。

濁川 以前はお膳立てをして、「ここで指導助言をお願いします」と言わないとなかなか進みませんでしたが、今は校医さんも学校保健委員会を理解してくださっています。また、オブザーバーに学校評議員の方がいらっしゃるのですが、「しゃべりたくなってしまったのでいいかい?」というのでお話をしてくださることもあるので、そういう意味では和気あいあいとできるかなと思います。

衞藤 私も学校医ですが、国立の学校の学校医なので学校保健委員会というのはありません。附属学校園連合しての保健部専門委員会といって健康診断の後や年度末に次の年の準備など、年に2〜3回あるのですが、それに行きます。出たらせっかくなので、感染症の流行状況や新しいマニュアルが出るなどの情報提供はします。実際にディスカッションがされたときには、必要があればきちんとそこで意見を言うようにはしていますので、学校医も活用してもらえばいいと思います。

濁川 校医さんに講演会方式で保護者会などでお話をしてもらうというのは、学校保健委員会とは別にお願いしています。また、生徒が校医さんや薬剤師さんのところに行き、直接お話を聞いて保健委員活動に結び付けています。そういう中で、学校保健委員会につながる話もいろいろ出てきますね。

櫻井 本校でも今度、保健委員をみんな集めて、薬剤師さんに来てもらって、水質検査のやり方を教えてもらいたいと思っています。こういう専門家の人たちが自分たちの学校のためにいろいろなことで動いてくれているのを知らないまま卒業していく子も多いので、保健委員の子たちに直接話を聞かせたい気持ちもあるんです。保健委員も1学年8クラス×3で多くの子たちがいるので、その子たちが話を聞いて、お便りでも作るということになれば、ぐっと認識が深まると思います。