成長曲線〜学校での成長曲線の活用〜
 
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心肺蘇生の実習

【辻野】教員だけではなく中学・高校では保健の授業の中で、まず23年度に事故があり、24年度には中学・高校に胸骨圧迫訓練用人形とAEDトレーナーのセットを1台ずつ配置して実習を授業に位置づけ、近隣の学校で融通し合って、1回の授業で数多くの台数を使ってみんなで実習できるようにしています。実習ではどれだけ押すのが大変かということ、自分達にも救える命があるんだということを体験しています。小学校でも5・6年生にはAEDは学校にはここにあり、AEDはこういうものだということを授業で指導し、本格的な訓練用のAEDではありませんが、簡単なキットを使って自分たちで練習をするということをしています。中学校1年生の保健の授業の中では市として体育の授業を1時間プラスするということで実習を行い、中学1年生修了時には、AEDはこういうもので、こう使うもので、胸骨圧迫はこうやるよということを全員がわかるようにということを目標にやっております。

【木村】前、何かの講習会でそのキットでしょうか。きゅっきゅっと鳴る小さいものがありました。

【辻野】あっぱくん、ですね(注3)

注3)胸骨圧迫トレーニングツールのシリーズの商品名。普及型のものとして「あっぱくんライト」がある。株式会社アレクソンの製品。

【木村】あれいいなと思って。あれを全員で持って、手ごろに練習ができたら、この感覚なんだということを子供たちが何となく体験してわかることができれば学校内だけではなくいろいろな地域で、もし自分のお父さんでもお母さんでもそのうちの家族でもそうですが、勇気を持ってできる意識づけにはなるのではないかと思いました。

【坂本】圧迫の感覚をつかむことができる方法として、特別な費用がかからないものではバスケットボールやバレーボールなどを使う方法もあります。硬さや反発があって、胸骨圧迫の胸の真ん中を想定して押す感じをつかむのに有用と思います。

【辻野】でも、ボールだと真っ直ぐ押さないと、ずるっと外れてしまいませんか。

【坂本】そういうこともありますが、かえって、真っ直ぐ押すという力のかけ方もちょうど学べるかもしれませんね。

【道幸】バスケットボールの硬さがいいでしょうか。

【坂本】バスケットボールだと少々硬すぎるかとは思います。だけど、人間の胸の硬さも筋肉のつき方によって、すごく硬い人と柔らかい人がいますので、そんなに気にしなくていいかもしれませんね。中の空気がめいっぱいの状態ではない程度で、少々柔らか目程度がいいと思います。ただ、いずれにしてもやはり体験してもらうということが大事なので、ある程度の感覚だけでも持ってもらうのは非常にいいのではないかと思います。押す力は平均すると30kgぐらいと言われているのですが、30kgということは体重の半分ほど、高校生の女子では全体重をかけなくてはいけないぐらいの力になりますので。

【衞藤】AEDを使う心肺蘇生は、先生方の研修と、実際に子供たちへの教育、その両面の必要性といいますか、子供たちの教育の面では、今、教科書にも書いてある中学校の保健体育の保健分野、高等学校の保健体育の保健にも必ず載っていますが、授業がなされるのかどうかというところまではなかなか調査がないからわからない。かなり授業でやられていると考えてよろしいのでしょうか。

【辻野】私の所属する教育委員会には訓練用AEDトレーナー4台とリトルアン(注4)が21台あるので、今の時期か2月、3月にかけて学校に貸出し、体育の教員や養護教諭が授業を行っています。

注4)心肺蘇生法の訓練用人形の商品名。レールダル社の製品。

【木村】本校も2年前のことがあってからは、保健の教科書では最後の方に心肺蘇生が載っているのですが、本校には幸い心配蘇生の人形があるので、それをあえて1年生の1学期に行っています。

【辻野】教科書では知識の理解として授業されているけれども実技はなかなかというところがあるのではないでしょうか。道具が揃わないと難しいところもあります。

【衞藤】人体の格好をしている人形は高いかもしれませんが、腕がなく胴体だけの練習キットもありますね。

【坂本】そういう面では30万回使えるといいうようなものが安価で出てきていますし、人間に見た目が近いということで現実感を持たせることも一方では重要ですけれども、あまりそこにこだわらずに胸を押す力加減と、そのことの大事さが伝わるのであれば必ずしも人間に似ている必要はないと思います。

 

【辻野】きゅっきゅっと音がしたりするとファーストタッチとして小学生なんかは取っ付きやすくて、初めは変な音に笑っていたりしますが、やっていく中で、これが人の命とつながっているんだと、授業の後半は本当に真剣になります。まだ5年生で体が小さいと、なかなか音が出ないんです。やり方は合っていて君がもう少し体が大きくなったらできるようになるなどと、励ますこともあります。実施後の感想では、音が出なくても誰かを呼びに行くとか、AEDを取りに行ってくるとかそういうことはできることがわかったのでそういう場面があったらぜひやりたいと書いてくれる小学生も多くいます。

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