[01] これまでの体験から |
[02]「学校でのアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」と学校生活管理指導表(アレルギー疾患用) |
[03] 学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の取り扱いと活用 |
[04] 今後の課題(1)―研修体制・保健指導― |
[05] 今後の課題(2)―エピペンの取り扱い― |
今後の課題(1)―研修体制・保健指導―
並木では最後に、アレルギー疾患に対応する今後の課題についてお話を伺います。
菅沼養護教諭は校内研修の企画・実施の中心となる役割を担っています。アレルギーについての内容は、このガイドラインの中にもありますが、「アレルギー疾患について」「症状が出現したとき」「緊急時の対応」「アドレナリン自己注射液について」等について共通理解をより深めていくことだと思います。
並木中学レベルだと、教師全体で共有して対応できるような研修会をこれからどう組めるかということですよね。研修会の講師は都合つきますか。うちにも紹介してくれという電話が結構あるので、あまり受けてくれる人がいないのかと思ったのですけれども。
菅沼講師については学校医の先生に相談しました。アレルギーが専門の小児科医を紹介していただきました。
沢田東京都では福祉保健局が出している冊子と付属のDVDには、研修の内容が入っています。
井上千葉市ではアレルギーの校内研修会を実施している学校が増えています。前任校でもアレルギーの専門医を学校保健委員会にお招きして、地域の幼稚園の先生や民生委員さん、児童の登下校の指導をするセイフティウォッチャーさんにも参加していただき、とても好評でした。重症のアレルギーのケースでは、セイフティウォッチャーさんの手に牛乳がついていて触れてしまうだけで反応してしまうこともあります。お友だちの家に遊びに行った時にアレルギー反応を起こす食べ物が出ることもありますし、図工の材料として持ってくるお菓子の空き箱なども要注意です。職員が研修することも大事ですが、地域の方や保護者も理解したほうがいいですね。また社会全体にも食アレルギーに対する理解を深めてほしいと思います。例えば電車の中でファストフードを食べている人がいますが、その電車の中に小麦のアレルギーの子がいたらという意識がまったくないと思います。校内だけではなく校外へ発信していくことが今後の課題だと思います。
並木東京都の取り組みで、研修DVDが配布されているそうですが、皆さん、これで研修ができましたか。
沢田そうですね。以前試みたのですが、参加される先生は数名でした。高校生になると、本人がアレルギーを持っていること自体をそんなに悪く受け止めていないところもあるようです。アトピー性皮膚炎の生徒でも慣れてきています。でも小学校だと、ほかの子どもたちにどう教えるのかという問題がありますね。心臓や腎臓の病気と違って、アレルギーは外的要因で誘発されますから、自分も注意してみんなも注意したらコントロールできる病気だということを、大人だけではなくて子どもも知っていたほうがいいと思います。アレルギーについての教育は保健体育に入ってきたのでしょうか。
井上小学校は6年生の「病気の予防」の中で指導できますが、子どもたちに協力をお願いする場合もあり、必要に応じて授業以外で指導を行っています。ガイドラインの中で紹介されている紙芝居やパンフレットなどを使うと効果的です。
並木アレルギー疾患の患者会で患者や家族の方がかなり気にされていたのは、周りの理解がなかなか得られないことでした。「何で○○ちゃんだけ特別なの」といわれてしまうことですね。小さい子ほど多い。啓発として紙芝居は有効ですね。
井上「管理指導表」はできれば医療機関に置いていただけると、もっと活用していただけるのではないかなと思います。学校からも「管理指導表」の提出をお願いしますが、双方向でできるといいなと思います。
並木ところで修学旅行の旅行業者はアレルギー疾患に対応していますか。
沢田ピーナッツとフルーツのアレルギーがある生徒の事例です。ピーナッツやフルーツはドレッシングや隠し味に入っていることがあるので、業者さんを通して宿泊先と外食の献立を全部出してもらって保護者や生徒に確認してもらいました。