2.10代から急増
図1は年齢層(横軸)ごとに、どのような疾患がどの程度生活に影響を及ぼしているかを示したものである。データはオーストラリアのビクトリア州のものだが、先進国の場合、大体似たようなものと考えてよいだろう。高齢になれば認知症や目耳の不自由といった神経・感覚器の病気、癌、心臓血管系の病気の影響が圧倒的に大きい。これに対して精神疾患の影響は、10代で著しく増加、20歳、30歳頃には病気による生活への影響の過半数が精神疾患によることを示している。10歳未満でも精神疾患の影響はそれなりにあるが、10代から急増することがわかる。
では逆に、精神疾患に罹患した成人は、大体何歳までに発症しているのかを見てみよう。図2に示した研究(Kessler ら、2005)によれば、その半数は10代半ば(14歳)までに発症しており、4分の3が20代半ばまでに発症している。つまり精神疾患の発症は一般のイメージよりも早く、児童、生徒、学生の年齢でその多くが発症していることがわかる。