第1回「健康診断」

健診の待ち時間の工夫

K 部屋の中で待っている分にはさほどでもないようですが、廊下だとやはり騒がしくなっちゃいますね。中で何をやっているかわからないし、壁を隔てているから多少騒がしくても大丈夫と、子どもも思うんでしょうね。できるだけ待ち時間は少なくしようとは思うんですけどね。健診の時間を記録して、時間のコントロールの目安にすることはできますよね。また例えば歯科健診では、「校医さんがCって言ったらむし歯なんだよ」などと子どもたちにあらかじめ知識を与えておくと、耳を傾けてちょっと静かになるというような工夫もできるでしょうね。

A 私は歯科健診の時には、そういうむし歯の知識を大きな紙に書いて貼っておきますが、逆にその知識を元に「あっ今のむし歯だ」「僕は大丈夫だ」などと声が上がってしまうこともありますね。

K 以前、ある子どもが、「アレルギー性結膜炎」と校医の先生に言われたのを聞き取れなくて、「ナントカカントカ、ケツまくれって言われた」と言って、大笑いしました(笑)。やはりあらかじめどんなことをされるのか、どんなことをいわれる可能性があるのかということがわかって、心の準備ができると、ちょっと主体的に関わることができて、あまりざわつかないと思います。ほかになにか健康診断で工夫していることはありますか。

C ホワイトボードを利用して、健診の流れや校医さんの手順などを書いておきます。時間の関係でその都度口頭で説明することがなかなかできないものですから。イラストが主ですが、高学年の子には文章を入れるなどの工夫をしています。子どもたちが並んでいて、自分の番の手前くらいにちょうど目に入るようにしています。きっかけは障害のある児童でした。その子が健診のことを理解しないままパニックにならないように前もって説明をしておこうと配慮しました。でもその子に限らず、ただ体を調べられるだけではなく、何のためにこの健康診断が行われているのかを一人ひとりにわかってもらいたいので、こうした工夫をしました。

B 本校では掲示物や保健便りでお知らせしています。以前の学校でとても怖い眼科の先生がいらして、子どもたちがまっすぐに並んでいないと怒る先生で、しゃべるのもダメ、動くのもダメ、という感じなんです。初年にそれを体験して、翌年からは床のタイルにテープで線を引いて、子どもたちに、この線から一歩も出ないようにって指導をしたんです。そうでもしないと、何かあると今にも怒って帰ってしまいそうな先生で……。

K 帰られてしまったら最後ですよね。養護教諭としては、先生にも気を遣い、子どもたちにも気を遣い、で大変ですよね。それは極端な例ですけれども、並ぶところ、立つところなどの印はつけますよね。どうしても子どもって医師のそばまで行けないじゃないですか。「ここまで進んで」と声をかけても、だんだん離れていっちゃうので、☆とか○とか床に印をつける工夫はありますね。ところで、待っている時は立たせてますか? 座らせてますか?

B 今は小さい学校でスペースに余裕があるので、病院の待合室のように長椅子を置いて座らせています。

A 健診によって違いますね。歯科健診はやはり一人ひとりに時間がかかりますので、順番が次の子だけ立たせておくんですけれども、内科検診は流れるようにやっているので、座っててもいいよといっても、何人か立たせておくとどんどん立って並んでしまうので、結果立たせて待たせる場合もあります。

C 私もそうですね。健診によって変えています。耳鼻科と眼科は座らせることなく立たせて順番に行っています。内科は、座る場所はあるんですけれども、衝立の中に一人入っている間に次の子は衝立の反対側に立たせて待機させておきます。歯科はあえて距離をおいて座らせて待たせています。次の子があんまり近くに来ると、覗いたり話しかけたりして診断の妨げになるので。

K 並ばせ方によっては、待ちくたびれちゃう度合いも違ってきますね。どうしても子どもって、ものめずらしいものは覗きたくなっちゃうし、おしゃべりや列の曲がりの原因にもなって、健診がスムースに進まない原因になりがちですからね。立ってるから覗きにいくんですよね。そんなの覗いても何にも見えないよっていうんですけれども(笑)。余裕があれば座っているほうがいいんでしょうね。